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きみはいい子の総論

主人公たちを抱きしめたくなる度

自分も抱きしめられたくなる度

○さんによる短編小説集です。
呉美保監督で映画化もされた作品で、虐待という重いテーマを扱いながら、
ほのかに温かな読了感がある不思議な作品です。

主人公一人ひとりを抱きしめたくなるとともに、
自分自身も誰かに暖かく抱きしめてほしくなります。

 

自分を責めるあなた自身も実はいい子

「きみはいい子」には実にいろいろな立場の登場人物がでてきます。

力不足で学級崩壊をしてしまう新米教師、ネグレクトが疑われる子ども、虐待を受けていた過去に苦しむ母親。どれも胸がきゅうと縮こまってしまうような深刻な物語ばかりです。

それでも読了感が爽やかであるのは、「きみはいい子」が終始伝えているメッセージが温かみのあるものだからです。「自分を責めるあなた自身も実はいい子なんだよ」と語りかけてくれます。

「悩み、苦しみ、自分を責めるあなたも、いい子だよ」と優しく囁き、読者を包容してくれるような本です。今、子育てをしている方や教育現場にいらっしゃる方には特におすすめの一冊です。

 

きみはいい子を読む上での注意点

ただし、きみはいい子を読む上で、注意したいことがあります。

それは実際に虐待当事者であった方には、生々しすぎる表現があることです。
虐待当事者の方は、もしかすると、きみはいい子を読むことで、当時のことを思い出してしまうかもしれません。ご自身の気持ちをしっかりと観察した上で、けして無理はなさらずに読み進めてみてください。

また、テーマがテーマであるだけに、
体調がよいときに読むことをおすすめします。